上品な甘さとホクホクの食感
取れたて完熟のかぼちゃ
茨城県南部の霞ヶ浦と利根川の間に位置する稲敷大地の関東ローム層で、『江戸崎かぼちゃ』の栽培が始まったのは昭和41年。来年で節目の満50年を迎えます。夏の作物として新種の「えびすかぼちゃ」や「くり将軍」に目を付け、有機肥料をふんだんに使い、畑でしっかり完熟させてから出荷したところ市場で評判になったといいます。優れた農産物としての受賞歴も多数にのぼっており、今や「日本一のかぼちゃ」と言われるまでになりました。
当初はノウハウも乏しく、苦労も多かったようですが、昭和45年にかぼちゃ部会が設立され、品質や栽培技術の向上に努めるとともに、計画出荷の確立や試食宣伝会などに取り組んだ結果、昭和57年には県内初となる「茨城県銘柄産地」の指定を受けています。また、規格の均一化を図るため、一元出荷して専門検査員による全品開口検査を実施し、未熟品などの抜き取り出荷を行うなど地道で堅実な対応や姿勢がブランドを守り続けてきました。
今回訪ねた生産者の若林正一さんは、ご夫婦でハウスと露地での栽培をされていますが、本来の味と香りをギリギリまで引き出すために通常、花が咲いてから45日ほどで収穫できるものをあえて55日以上かけ、完熟するのを待って収穫するので、直ぐに食べることができといいます。舌触りが良く、上品な甘さが特徴なほか、皮にツヤがあってずっしりと重みがあるかぼちゃで、ヘタが青くても完熟で食べごろなのが『江戸崎かぼちゃ』と説明されました。
『江戸崎かぼちゃ』は、甘みとホクホク感が他の産地の追随を許さない「かぼちゃ」のブランド品ですが、かぼちゃには、免疫力を高めるカロチンはもちろん、ビタミンCも豊富に含まれており、緑黄色野菜の王様と言われています。この完熟かぼちゃの素材の味を生かした「煮物」を始め、「天ぷら」といった定番の和風料理もさることながら、「ポタージュスープ」や「サラダ」、またチーズを使った洋風の料理などにも見事にフィットするといいます。
(取材:2015年5月26日)
完熟してから収穫し、直ぐに出荷するので、いつでも食べごろの舌触りが良く甘いかぼちゃです。
天候に関わらず毎日圃場に出かけ、奥様とふたりで丹精にかぼちゃを育てる若林正一さん夫妻。
堆肥による土づくりが行われた圃場で、収穫の直前まで自然の光をたっぷり浴びて育てられます。
とても素朴で甘みが立っていない上品な味が新鮮な定番ともいえる「かぼちゃの煮つけ」。
美味しいかぼちゃの代名詞になっている「江戸崎かぼちゃ」には、認定シールが貼られています。