第11回「ナーベーラー」(沖縄県・南風原町)

ナーベーラー

『ナーベーラー』は沖縄の方言で、食用のへちまのことですが、ビタミンやミネラルを豊富に含んでいる夏野菜です。

神里繁さん

「キレイで良いものを出荷する」と言われている神里繁さんは、ご夫婦で『ナーベーラー』と『かぼちゃ』を生産されています。

夏野菜の横綱格のへちま
トロリとした食感と甘みが特徴

沖縄県は亜熱帯に属しているため、農作物にも大きな特徴があり、高温下で栽培するウリ科野菜を多食する文化があります。『ゴーヤー』を始め『トウガン』、『ナーベーラー』といった野菜には、水分とカリウムが含まれていますが、『ナーベーラー』は葉酸も豊富です。葉酸は妊娠初期の胎児の神経系発達時期にも適しています。『ナーベーラー』は沖縄の方言で、食用のへちまのことですが、インドや中国が原産の作物で、江戸時代に中国から渡来したといわれています。

今回、訪れた那覇市の南に位置する南風原町は、県内一の『ナーベーラー』の産地ですが、生産者さんの中でもキレイで良いものを出荷するといわれている神里繁さんを訪ねました。代々農業に従事されてきましたが、神里さんは15年ほど前から就農したといいます。 300坪ほどの農地には、大きな葉とつるに覆われた中に、黄色い花がまぶしいほど咲いた『ナーベーラー』畑が一面に広がっています。

神里さんは、『ナーベーラー』のほか、『かぼちゃ』をご夫婦2人で栽培されています。『ナーベーラー』は、成分のほとんどが水分ということで、栽培の過程では水管理がとても重要です。また、南風原町はジャーガルという粘土質の灰色がかった色をした土壌で、保水性に優れており、『ナーベーラー』の生育に良い影響を与えているといいます。滑らかな食感とまろやかな甘みが特徴の野菜ですが、南風原町産は表面のでこぼこが少なくツルっとしています。

『ナーベーラー』は、『ゴーヤー』と並ぶ夏野菜の横綱格ですが、ビタミンやミネラルを豊富に含んでおり、開花から1週間ほどで20cmくらいの若い実を食用にします。沖縄では『ナーベーラーンブシー』という味噌煮で食べることが多いようですが、中華・洋風料理にもマッチングするので、今後料理の幅が広がる野菜として期待されています。

平成24年、南風原町では町内産のへちまの総称を『はえばる美瓜(びゅうり~)』とネーミングするほか、料理のレシピ集の発行、へちま大使として活躍する小学生のダンスチーム『Beaury’s』の結成、ゆるキャラ『美瓜くん』の登場などによりブランド化と消費促進を図っています。

(取材:2014年6月4日)

美瓜くん

南風原町産のへちまの総称『はえばる美瓜にちなんだゆるキャラの『美瓜くん』も取材現場に登場。

スタミナビネガーチキン煮

暑い夏にぴったりのナーベーラーと鶏の手羽元を煮込んだ栄養満点のスタミナビネガーチキン煮。

ラタトゥイユ

ナーベーラー、ナス、トマト、パプリカなど夏野菜をたっぷり炒めて煮込んだ覚めてもおいしいラタトゥイユ。