第4回「加賀れんこん」(石川県・金沢市)

支那白花

現在、栽培されている「支那白花」という品種は、病気に強く、浅根性で収穫もしやすい上に収量も多いといいます。

米澤哲司さん

金沢れんこん生産組合の若きリーダーとして栽培の理論的な研究や人材育成に余念がない米澤哲司さん。

肉厚で、もちもちとした食感
病気に強く、浅根性のれんこん

昭和20年以前から栽培され、今も主として金沢で栽培されている野菜が『加賀野菜』と呼ばれ、現在15品目がブランド野菜として認定されています。金沢は加賀百万石の城下町ですが、『加賀れんこん』は、五代藩主の前田綱紀公の頃に栽培が始まったと伝えられていますから300年以上の歴史を誇っています。当初は、上級武士の薬用として用いられ、食用としての栽培が盛んになったのは、明治20年代からといわれます。

現在、金沢市内で『加賀れんこん』を栽培している農家はおよそ60軒ほど。古くから生産されている小坂地区と河北潟干拓地の2ヵ所ありますが、今回訪ねたのは、河北潟干拓地で生産をする金沢れんこん生産組合副組合長の米澤哲司さん。元々は米農家でしたが、30年程前に父の代からこの地でれんこんの栽培を始めたといいます。ご自身は、柔道整復師を経て家業を継がれました。

収穫方法には「鍬堀り」と「水堀り」の2種類がありますが、干拓地のれんこん畑では、ホースの水圧によりれんこんの周りの泥を飛ばしながら収穫作業が行われる水堀りです。晩秋のこの季節、早朝3時頃からお昼ごろまで、雨の日も作業があります。ウエットスーツ姿で腰まで水に浸かり、手がかじかみ泥水で見えない中、長年の経験と勘を頼りにれんこんを探しだして掘りおこす作業は大変過酷なものです。

現在、栽培されているのは、「支那白花」と呼ばれる品種の病気に強く浅根性のものです。太くて節と節の間が短く、肉厚な上にでんぷん質が多くて粘りが強いという特徴を持っています。世帯あたりのれんこん支出額が全国一といわれる石川県民ですが、地元ではすりおろして加熱するなどもちもちした食感を味わう料理として食べられるようです。また、お好み焼きのつなぎとしても合うといいます。
(取材:2013年11月7日)

水堀り

ウエットスーツ姿で腰まで水に浸かり、ホースの水圧を利用してれんこんの周りの泥を飛ばしながら収穫する水堀り。

「奈加川」の蜜菓子

獲れたての『加賀れんこん』をひとつひとつ蜜漬けにした「奈加川」の蜜菓子。リンゴみたいなシャリッとした食感。

れんこん引き揚げ

泥を取り除いたれんこんは小さなボートに積まれた後、作業場で規格を揃え箱詰めを経て市場に出荷されていきます。