第12回「博多アスパラガス」(福岡県・大川市)

博多アスパラガス

疲労回復効果の高いアスパラギン酸を含んだ根元まで柔らかい『博多アスパラガス』。

江崎都さん

お父様の作業支援を受けながら『博多アスパラガス』を生産されている若手女性生産者の江崎都さん。

若手女性生産者が作り出す
根元まで柔らかいアスパラガス

新鮮でおいしく、安心できる農産物が豊富なことで有名な福岡県ですが、平成10年よりアスパラガスの生産を推進・拡大してきています。平成20年度には、福岡県ブランド化推進協議会により品質・安全性はもちろん、量や環境への配慮も優れているとして、『博多アスパラガス』が福岡県の農産物ブランド化推進対象品目に承認されました。福岡県産の『博多アスパラガス』は、冬でも温暖な九州の気候とビニールハウス栽培による保温、雨よけ対策の効果で、1月から10月までの収穫が可能になりました。

今回、訪れた福岡県の南西部に位置するJA福岡大城は、きのこの産地としても知られていますが、県内一の生産量を誇るアスパラガスの産地でもあります。JA福岡大城管内では、およそ3割が女性の生産者といわれますが、今回訪ねた江崎都さんは、教員への道を目指し広島大学に進学されたものの、自然を相手にする農業の魅力に惹かれ、29歳の時にUターン。実家は代々続く普通作大規模経営農家ですが、地元のJA・先輩女性生産者の誘いもあり、地域の振興品目である『アスパラガス』の生産に取り組んだといいます。

現在、普通作はお父様、都さんが『博多アスパラガス』を中心とした経営と分担し、14棟のハウスで栽培されています。『博多アスパラガス』には、3~4月がピークの春芽と6~7月にピークを迎える夏芽があります。夏芽は春に立茎した親茎の下で育つため淡い緑色ですが、根元まで柔らかく、甘みが強いのが特徴です。この時期、背の高さほどのふさふさとした葉の下には、地面からアスパラガスが元気に生え育っています。穂先がピンと立ち締まっているものがおいしいと言われます。

『アスパラガス』は、糖質が多く、疲労回復効果の高いアスパラギン酸や食物繊維が豊富な素材で栄養面でもうれしいポイントが多くあります。脂っこいものやお酒などを多く摂取される方、妊娠中の方にもお勧めです。また、おいしい食べ方としては、茹でたり、焼いたりするほか、炒めものや天ぷら。茹でる場合には、初めに根元を立てた状態で茹で、その後横に寝かせて全体が均一になるよう仕上げるのがコツといいます。
(取材:2014年7月14日)

ハウス栽培

温暖な気候とハウス栽培による保温や雨よけ対策の効果で、1月から10月までの収穫が可能になりました。

パンツァネッラ

硬いパンにトマト、たまねぎ、アスパラガスなどを加えてヴィネガーやオリーブオイルで味つけした『パンツァネッラ』。

博多アスパラガス

ふさふさと生えているのが葉と茎。この根元から『博多アスパラガス』が元気に育ちます。