第2回「札幌黄」(北海道・札幌市)

長岡巾着なす

タマネギ農家四代目の大作康浩さんは焼きタマネギもオススメ

小林ご夫妻

「食の世界遺産」にも登録された北海道の代表的野菜「札幌黄」

再び魅力が見直されている
タマネギの在来種

例年であれば、8月下旬から収穫されるタマネギの「札幌黄」。今年は大雨や天候不順により少し遅れたようです。札幌市郊外の丘珠空港に程近く、70アールの畑で「札幌黄」やF1種を栽培されているタマネギ農家4代目の大作康浩さん。「雨が降ると葉が開いているので入りやすく腐ることが多い」ことや日持ちがしなかったり、形が不揃いであったりと栽培の難しさを語られるものの、シンプルに生でスライスして食べる食感やおいしさには自ら太鼓判を押されていて、「札幌黄」に賭ける思いは人一倍の強さです。

「札幌黄」のルーツは、明治4年に欧米から輸入した種子を札幌農学校で試作したことに始まります。肥沃で風が強く乾燥しやすいという環境もあり、品種改良を重ねて「札幌黄」として広まったといわれます。現在、自家用栽培も含め40軒程の農家で作られています。一時は、ロシアやフランスにも輸出されていたものが、昭和50年頃からF1種が増えたことや病虫害に弱いことなどもあって作付面積が減少していたといいます。

最近では、一般のタマネギより肉厚で柔らかく、煮込むと甘味が強くなるなど味の良さから見直されているほか、普及・PRのために消費者や生産者、飲食店などによって設立された「札幌黄ブランド化推進協議会」の尽力により消費に広がりを見せ、平成19年には、「食の世界遺産」ともいわれるスローフード協会本部の「味の箱船」にも認定されています。大作さんのところで拝見した「札幌黄」は、乾燥され、選別が行われた後に倉庫で寝かされたものが市場に出荷されていきます。
(取材:2013年9月12日)

素揚げ

北海道のタマネギは、春に種をまいたものが秋に収穫されます。一面に黄金色に輝く丸々とした「札幌黄」が転がっている収穫時の畑はなかなか壮観です。

炒め物

熱を加えることで甘みが増す」といわれる札幌黄の特徴を活かした「焼きタマネギの味噌汁」。くし切りにして軽く焼いてから入れると生のまま入れて加熱したものより甘みがいっぱい感じられる。

ふかし

タマネギの花「ネギ坊主」は、次の年用の種を取るために育てています。刈り取られた後は、頭を下にして干され、「札幌黄」の種が落ちるのを待ちます。